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退職金 勤続20年以上の控除額は?計算式と早見表で徹底解説

榎本 達也 / 更新:2026-06-24
退職金 勤続20年以上の控除額は?計算式と早見表で徹底解説
勤続20年を超えると退職金の控除額がどう変わるのか、計算式がぱっと出てこなくて不安——そんな相談を私はよく受けます。結論から言うと、20年を超えた分は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で控除額が決まります。

20年までは1年あたり40万円。20年を超えると1年あたり70万円に増えます。だから長く勤めた人ほど税金の面で得をする仕組みです。

この記事では、計算式の意味、勤続年数別の控除額早見表、実際の税額と手取りの出し方、そして一時金か年金かの選び方まで、私がFP実務で使っている順番で整理します。自分の控除額をその場で計算できるはずです。

退職金の勤続20年以上の控除額とは?まず結論

【控除額がすごい】退職所得控除の基本について【確定拠出年金にも使えます】
【控除額がすごい】退職所得控除の基本について【確定拠出年金にも使えます】

退職金には「退職所得控除」という大きな非課税の枠があります。勤続20年超なら、800万円に加えて20年を超えた1年ごとに70万円が積み上がる。これがこのテーマの核心です。

国税庁のタックスアンサーでも、20年超の計算式は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」と明記されています。

退職所得控除の基本的な考え方

退職所得控除とは、退職金のうち税金がかからない金額の枠のことです。退職金からこの控除額を引いた残りに、さらに1/2を掛けてから課税します。

つまり二重に優遇されている。長年の勤労に報いるための制度で、退職金が控除額以下なら退職所得は0、税金はかかりません。

勤続20年を境に控除額が増える理由

20年以下は「40万円×勤続年数」、20年超は1年あたり70万円。なぜ20年で切り替わるのか。長期勤続を後押しする政策的な配慮だと私は理解しています。

数字で見ると差は歴然です。勤続20年の控除額は800万円。ここから1年延びるごとに70万円ずつ増えていきます。

勤続20年以上の退職所得控除額の計算式と具体例

ここが一番大事な部分です。式は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」。この800万円は、20年分の控除(40万円×20年)をまとめた金額です。

勤続20年以上の退職所得控除額の計算式と具体例

計算式「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」の解説

たとえば勤続30年。800万円+70万円×(30-20)=800万円+700万円=1,500万円。国税庁の例でも勤続30年の控除額は1,500万円とされています。

退職金が1,500万円以下なら、勤続30年の人は退職所得が0。所得税も住民税もかかりません。私が相談現場で「思ったより税金が安い」と驚かれるのは、たいていこの控除の大きさが理由です。

勤続年数の端数処理(1年未満は切り上げ)

勤続年数に1年未満の端数があれば切り上げます。たとえば勤続20年3か月なら21年として計算します。

この切り上げが効いてくる。20年と1日でも21年扱いになり、控除額は800万円から870万円に跳ね上がります。退職日が年度末ぎりぎりの人は、ここを必ず確認してください。

勤続20年と21年での控除額の差額シミュレーション

20年と21年では70万円も控除額が違います。退職所得は控除後に1/2を掛けるので、課税対象ベースで35万円分の差。たった1年で手取りが変わるのは、知らないと損をするポイントです。

勤続20年と21年の控除額比較
勤続年数計算式控除額
20年40万円×20年800万円
21年800万円+70万円×1年870万円

勤続年数別の控除額早見表

自分の勤続年数を当てはめやすいように、20年超の代表的な控除額を一覧にしました。すべて「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で算出した数字です。

勤続年数別の控除額早見表

20年・25年・30年・35年の控除額一覧

勤続年数別の退職所得控除額(20年超)
計算式は800万円+70万円×(勤続年数-20年)。国税庁No.1420に基づく。
勤続年数計算式控除額
20年40万円×20年800万円
21年800万円+70万円×1年870万円
25年800万円+70万円×5年1,150万円
30年800万円+70万円×10年1,500万円
35年800万円+70万円×15年1,850万円

障害が原因で退職した場合の100万円加算

障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、上の控除額にさらに100万円が加算されます。勤続30年で障害退職なら、1,500万円+100万円=1,600万円です。

この加算は見落とされがちです。該当する可能性があるなら、退職時に勤務先や税務署へ必ず申し出てください。

退職金にかかる税額の計算方法

【勤続年数で変わる?】退職金をもらったら、税金は?確定申告は?
【勤続年数で変わる?】退職金をもらったら、税金は?確定申告は?

控除額が分かったら、次は実際の税額です。退職金は他の所得と合算せず、退職所得として単独で課税されます(分離課税)。給与とは切り離して計算するのがポイントです。

退職所得の金額の出し方

退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2。たとえば退職金2,000万円、勤続30年なら、(2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円が退職所得です。

この1/2が効くおかげで、課税される金額はぐっと小さくなります。

所得税の計算手順

求めた退職所得に、所得税の累進税率を掛けて税額を出します。退職所得250万円なら、所得税の速算表で計算した金額が所得税額です。さらに復興特別所得税(所得税額の2.1%)が上乗せされます。

具体的な税率区分は国税庁のNo.1420で確認できます。退職金が控除額以下なら、この計算自体が不要です。

住民税の計算方法

住民税も退職所得に対してかかります。税率は10%(市町村民税6%+道府県民税4%)。退職所得250万円なら、おおむね25万円が住民税の目安です。

住民税は退職時に源泉徴収され、通常は確定申告で改めて納める必要はありません。

源泉徴収票の見方と税額の確認

退職金を受け取ると「退職所得の源泉徴収票」が交付されます。ここには支払金額、勤続年数、源泉徴収された所得税額、特別徴収された住民税額が載っています。

私が確認するときは、まず勤続年数の欄を見ます。端数の切り上げが正しく反映されているか、控除額が早見表と合うか。ここがずれていると税額が変わるので、最初にチェックすべき場所です。

確定申告が必要なケースと申告書の有無による違い

退職金の税金で一番つまずくのが、申告書を出したかどうかで税額が大きく変わる点です。これを知らずに損をする人を、私は何度も見てきました。

確定申告が必要なケースと申告書の有無による違い

「退職所得の受給に関する申告書」を出したかどうかで変わる税額

退職時にこの申告書を勤務先へ提出していれば、退職所得控除が適用され、正しい税額が源泉徴収されます。これで原則、確定申告は不要です。

出していないと、退職金額に一律20.42%の所得税が源泉徴収されてしまいます。控除を一切使わない計算なので、本来より多く取られるケースがほとんどです。

確定申告で還付を受けられるケース

申告書を出し忘れて20.42%を引かれた場合でも、確定申告をすれば払いすぎた分が戻ってきます。控除を反映した正しい税額との差額が還付されるからです。

年の途中で退職して他に所得が少ない人も、申告で還付になることがあります。源泉徴収票を見て「多いな」と感じたら、まず申告を検討してください。

2022年改正の短期退職手当等(勤続5年以下)との違い

勤続5年以下の退職金には別ルールがあります。2022年(令和4年)改正で、勤続5年以下の場合、退職所得控除後の金額のうち300万円を超える部分は1/2を掛けられなくなりました。

これは短期勤務で多額の退職金を受け取るケースへの対応です。勤続20年以上の人には関係しませんが、転職が多い人は自分がどちらに当たるか確認しておくと安心です。

複数の退職金やiDeCo・小規模企業共済がある場合の調整

退職金を複数受け取る人や、iDeCo・小規模企業共済を併用する人は、控除の重複に注意が必要です。ここを誤ると控除を二重に使えると勘違いしやすい。

複数の退職金やiDeCo・小規模企業共済がある場合の調整

同一年や前年以前に退職金がある場合の調整計算

同じ年に2か所から退職金を受け取る場合や、前年以前4年内(iDeCoなら前年以前19年内)に別の退職金を受け取っている場合は、勤続期間の重複分について控除額が調整されます。

単純に各社の控除を足せるわけではありません。重なった年数は二重に数えられない、と覚えておくと判断を誤りにくいです。

iDeCo・小規模企業共済と同時に受け取るときの重複期間の扱い

iDeCoの一時金や小規模企業共済も退職所得控除の対象です。ただし会社の退職金と勤続期間が重なっていると、その重複期間分は控除を共有する形になります。

だから受け取る順番とタイミングが効いてきます。iDeCoを先に受け取り、数年空けてから会社の退職金を受け取ると、控除を別々に使いやすくなるケースがあります。受給設計は早めに専門家へ相談する価値が大きい部分です。

手取りを増やす受け取り方の比較と注意点

これが結論です!5年ルールが消えた後に最もお得に退職金を受け取る方法について解説します!
これが結論です!5年ルールが消えた後に最もお得に退職金を受け取る方法について解説します!

退職金は一時金で受け取るか、年金形式で受け取るかを選べる場合があります。どちらが得かは人によって変わる——これは正直、両論併記では片付けられません。

一時金で受け取る場合と年金で受け取る場合の有利不利

一時金は退職所得控除と1/2課税が使えるのが最大の強みです。控除額が大きい長期勤続者ほど、一時金で受け取ると税負担が軽くなります。

年金形式は受取総額が一時金より多く設定されることがある一方、毎年の年金が雑所得として課税され、社会保険料にも影響します。私の経験では、勤続20年以上で退職金が控除額の範囲に収まる人は、一時金が有利なケースが多いです。

一時金と年金の主な違い
項目一時金年金形式
税の扱い退職所得(分離課税・1/2課税)雑所得(総合課税)
退職所得控除使える使えない
社会保険料への影響小さい大きくなりやすい

控除を最大限活かすための受け取り順の工夫

会社の退職金とiDeCoの両方がある人は、受け取る年をずらすのが基本戦略です。重複期間の調整を避けやすくなり、それぞれの控除を活かしやすくなります。

具体的な年数の空け方は加入期間や年齢で変わります。退職の2〜3年前には一度シミュレーションしておくと、選択肢を残せます。

よくある勘違いと損をしないための注意点

一番多い勘違いは「退職金にはどうせ高い税金がかかる」という思い込みです。実際は控除が大きく、勤続20年以上なら無税になる人も珍しくありません。

もう一つは申告書の出し忘れ。これだけで20.42%引かれるので、退職時の書類は必ず提出を確認してください。私が勧めないのは、よく分からないまま年金形式を選ぶこと。控除を捨てる結果になりかねません。

よくある質問(FAQ)

相談現場で繰り返し聞かれる質問を、要点だけ短くまとめました。

よくある質問(FAQ)

よくある質問

退職金20年以上の控除額とは?
勤続20年を超える退職金の非課税枠のことで、「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で計算します。たとえば勤続30年なら1,500万円です。退職金がこの控除額以下なら、退職所得は0で税金はかかりません(国税庁No.1420)。
控除を受けるのに費用はかかる?
退職所得控除そのものに費用はかかりません。退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先へ提出すれば、控除が自動的に適用されます。提出を忘れると一律20.42%が源泉徴収され、結果的に多く払うことになります。
控除を受けるための手続きの始め方は?
まず退職前に勤務先から「退職所得の受給に関する申告書」を受け取り、勤続年数などを記入して提出します。これで控除が反映されます。出し忘れて多く引かれた場合は、確定申告をすれば払いすぎた税金が還付されます。

自分の勤続年数を早見表に当てはめ、源泉徴収票の控除額と照らし合わせる。まずはこの一手だけでも、払いすぎを防げます。迷ったら退職の数年前にFPへ相談し、受け取り順を設計しておくと安心です。

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榎本 達也

榎本 達也

2級ファイナンシャル・プランニング技能士 ・ 地方銀行での個人資産相談業務12年

元銀行員・現FPとして、退職金や年金まわりの税務を中心に相談業務と記事執筆を行っています。制度の条文や国税庁の通達を直接確認しながら、読者が実際に使える情報だけを届けることを心がけています。

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