「ひかれる」の漢字7つの意味と使い分け|惹かれる・魅かれるの違いも解説

ただし「ひかれる」と読む漢字は7つあります。惹・魅・引・轢・挽・弾・退。意味がまるで違うので、選び間違えると文章の意味そのものが変わってしまいます。
この記事では、元銀行員で現役FPの私が、7つの漢字の意味と使い分け、変換ミスの防ぎ方、そして「魅かれる」が辞書非掲載である事実まで、書く前に確認できる形で整理しました。
「ひかれる」とは?まず知りたい結論

まず押さえてほしいのは、「ひかれる」は文脈によって当てる漢字が完全に変わるということ。心が動く話なのか、車にひかれる話なのか、で別物になります。
読み方と基本の意味
「ひかれる」は「引く」を受け身にした形が基本です。誰かに引っぱられる、何かに引きつけられる、という受動の意味を持ちます。
そこから派生して、心を引きつけられる(惹かれる)、車でひかれる(轢かれる)、はじき出される(弾かれる)など、漢字ごとに役割が分かれていきました。
もっとも多い「惹かれる」と「引かれる」
日常で使う「ひかれる」のほとんどは、この2つに集約されます。心の動きなら「惹かれる」、興味や関心が向くなら「引かれる」。まずはここだけ覚えれば、9割の場面は乗り切れます。
正直に言うと、私自身も仕事のメールでは「興味を引かれる」「魅力に惹かれる」の2パターンしかほぼ使いません。それで困ったことはありません。
迷ったときの選び方の早見表
| 伝えたい意味 | 使う漢字 | 辞書掲載 |
|---|---|---|
| 心が引きつけられる | 惹かれる | あり |
| 心が引きつけられる(強調) | 魅かれる | なし(当て字) |
| 興味・関心が向く | 引かれる | あり |
| 車・電車にひかれる | 轢かれる | あり |
| すりつぶす・細かくする | 挽かれる | あり |
| はじかれる・除外される | 弾かれる | あり |
| 後ろへしりぞく | 退かれる | あり |
「ひかれる」と読む7つの漢字の意味と使い分け
ここからは7つの漢字を、意味の近いものでグループに分けて解説します。字義(漢字そのものの意味)を押さえると、変換候補から迷わず選べるようになります。

惹かれる・魅かれる(心が引きつけられる)
「惹」は「ひく・まねく」という意味の漢字で、心や注意を引き寄せる場面に使います。「彼の誠実さに惹かれる」のように、感情が動くときの定番表記です。
一方の「魅」は「もののけ・人をたぶらかす魅力」を表す字。「魅かれる」と書くと魅力に引きつけられる印象が強まりますが、これは辞書に載っていない当て字です(詳しくは後述)。
引かれる(興味・関心を引く)
「引」は最も基本の字で、対象が自分の方へ寄ってくる・関心が向く意味を持ちます。「興味を引かれる」「気を引かれる」が代表例です。
「惹かれる」との違いは温度。感情がぐっと動くなら「惹かれる」、ふと関心が向く程度なら「引かれる」。私はこの基準で使い分けています。
轢かれる・挽かれる(車や機械でひく)
「轢」は車へんで、車や電車にひかれること。「車に轢かれる」と書きます。ニュース原稿でも使われる、れっきとした漢字です。
「挽」は手へんで、すりつぶす・のこぎりでひく意味。コーヒー豆を挽く、ひき肉(挽肉)の「挽」です。受け身で「挽かれる」と使う場面は多くありませんが、意味はここで覚えておくと変換時に迷いません。
弾かれる・退かれる(はじく・しりぞく)
「弾」は「はじく」。「仲間から弾かれる」「水を弾く」のように、除外される・はね返される意味です。読みは「はじかれる」が一般的で、「ひかれる」と読むのは限定的です。
「退」は「しりぞく・どく」。「退かれる」は相手に後ろへ下がられる場面で使いますが、現代文では「どかれる」と読む方が自然で、使用頻度はかなり低いです。
「惹かれる」と「魅かれる」の違い
検索する人が一番知りたいのは、ここでしょう。結論を先に言うと、正式な表記は「惹かれる」一択です。理由を字義と辞書掲載の事実から説明します。

「惹かれる」の意味と使う場面
「惹かれる」は、人柄・考え方・作品など、対象の内面や本質に心が引き寄せられるときに使います。「彼の優しさに惹かれる」「この街の雰囲気に惹かれる」。幅広く使える万能の表記です。
「魅かれる」の意味と使う場面
「魅かれる」は、外見や雰囲気の魅力にぐっと引きつけられる、という印象を強めたいときに見かけます。歌詞や曲名、小説のタイトルで効果を狙って使われることが多い表記です。
ただし、これは作り手が意図的に選んだ当て字。日常やビジネスで安易に真似ると、違和感を持たれるリスクがあります。
「魅かれる」は辞書非掲載という事実
ここが一番大事な点です。「魅かれる」は国語辞典に見出しとして載っていません。「魅」の音読みは「ミ」で、訓読みに「ひ(かれる)」はないからです。
つまり「魅かれる」は読みとしても正規ではない当て字。試験や校正の場では「惹かれる」が正答とされ、「魅かれる」は誤りまたは指摘対象になります。書く前にこれだけは押さえてください。
公用文・ビジネス文書で使うべき表記
私の結論はシンプルです。仕事の文書では迷わず「惹かれる」を使ってください。さらに「惹」は常用漢字表外(表外漢字)なので、固い公用文ではひらがなで「ひかれる」と書くのも正しい選択です。
金融機関で書類を作っていた頃、私は社外文書では「魅力を感じる」「関心を持つ」と言い換えることも多くありました。当て字で減点リスクを負うより、確実な表現に逃がす。これが実務の現実解です。
誤用と変換ミスを防ぐポイント

パソコンやスマホで「ひかれる」と打つと、複数の候補が一気に出てきます。ここで選び間違えると、意味が真逆になることも。具体的な防ぎ方を挙げます。
パソコン変換で出る候補と正しい選び方
「ひかれる」の変換候補には、惹かれる・引かれる・轢かれる・魅かれる などが並びます。心の話なら「惹かれる」、関心なら「引かれる」、事故なら「轢かれる」と、頭の中で意味を一度言語化してから選ぶのが確実です。
IMEによっては「魅かれる」が候補に出ることもありますが、出るからといって正しいとは限りません。候補表示と辞書掲載は別物だと意識してください。
正しい漢字か当て字かの線引き
線引きはシンプルで、「その読みが漢和辞典・国語辞典に載っているか」です。惹・引・轢・挽・弾・退は載っています。「魅」を「ひ」と読む用法は載っていません。これが当て字かどうかの判断基準になります。
間違えやすいケースの具体例
よくある誤りが、感想文や応募書類で「御社の理念に魅かれました」と書いてしまうケース。気持ちは伝わりますが、当て字なので「惹かれました」に直すのが無難です。
もう一つ。「興味を惹かれる」も間違いではありませんが、「興味」には「引かれる」を合わせる方が落ち着きます。慣用の組み合わせは次の章で整理します。
慣用的な言い回しと例文で覚える
単語だけ覚えても、実際の文では「何に・どう」ひかれるかで漢字が決まります。よく使う組み合わせを例文ごと押さえておくと、書くときに迷いません。

心を惹かれる・興味を引かれる
定番のコロケーション(語の組み合わせ)はこうです。「心を惹かれる」「魅力に惹かれる」「興味を引かれる」「気を引かれる」「注意を引かれる」。心は惹、興味・気・注意は引、と覚えると整理しやすいです。
ビジネスシーンでの使い方
商談やメールでは「貴社の取り組みに大変惹かれております」「この提案には興味を引かれます」のように使えます。固い文書なら「関心を持っております」と言い換えても自然です。
私が相談業務で書く資料では、感情を前面に出さず「魅力を感じる」「注目している」と表現することが多いです。相手や場面で温度を調整するのがコツです。
シーン別の例文集
| シーン | 例文 | 使う漢字 |
|---|---|---|
| 人柄に好感 | 彼女の誠実さに惹かれる | 惹 |
| 商品・サービス | この商品の価格に興味を引かれる | 引 |
| 事故報道 | 横断中に車に轢かれる | 轢 |
| 除外された | 選考で弾かれる | 弾 |
| 志望動機 | 御社の理念に惹かれました | 惹 |
類義語・対義語・英語表現
「惹かれる」だけだと文が単調になります。言い換えの引き出しを持っておくと、文章の幅が広がります。ニュアンスの差も表で整理しました。

引きつけられる・心奪われる・魅了される
| 類義語 | ニュアンス | 強さ |
|---|---|---|
| 引きつけられる | じわじわ関心が向く | 中 |
| 心奪われる | 我を忘れるほど夢中 | 強 |
| 魅了される | 魅力に強く引きこまれる | 強 |
| 心を動かされる | 感情が揺さぶられる | 中 |
無関心・興味を失うなどの対義語
反対の意味も押さえておくと、文章で対比が作れます。「無関心」「興味を失う」「心が離れる」「冷める」などが対義語にあたります。「惹かれていたが、次第に興味を失った」のように使えます。
英語での言い換え
英語にすると、心が引かれるは be attracted to、強く魅了されるは be fascinated by / be drawn to が近いです。例文は「I'm attracted to her honesty(彼女の誠実さに惹かれる)」。ビジネスなら be interested in(興味を引かれる)が無難です。
「ひかれる」に関するよくある質問

検索でよく一緒に調べられる質問に答えます。なお「ひかれる」には税の天引きを指す「引かれる」もあり、給与や年金から住民税が引かれる仕組みは公的に定められています。
よくある質問
最後に一言。当て字の「魅かれる」を避け、「惹かれる」を選ぶ。それだけで試験でも仕事でも恥をかきません。書く前のこの一手間が、文章の信頼を守ります。
